『アコ行状記(1)ラーメンいっちょ!』(山田節子)
さいとうプロ・1965年刊・A5判
セツコ・山田の山田節子時代の作品。後の猫まんがとは違い、といって少女まんがのタッチでもなく、やはりキッチリとした貸本劇画の絵である。当時、さいとうプロにいたさいとうゆずる(後のダイナマイト鉄)と「ガール・ガールミステリー」という二人集のシリーズを出していたが、その頃のさいとうゆずるとは絵も似ていた。
いかにも「おのぼりさん」のいでたちで街に降り立ったアコは、偶然入ったラーメン屋で住み込み店員として働くことになる。住み込みの女子店員は3人いて、美人でボーイフレンドが多い栄子は、仮病を使ってデートしたのがバレて、もっと稼げる仕事をするといって店を辞めた。アコと気が合う敏子は遊ぶこともせず倹しくしていたが、田舎の母親の病気が悪化して入院費が必要になった。そのとき、店の金が合わないことがあり、敏子が疑われる。作家志望のしん子が、栄子のときも敏子のときもおかみさんに告げ口したのだ。アコは自分が犯人だと名乗り出て、店から出て行く。だが、皆が追いかけて来て、犯人は店の主人だったと告げ、店に戻るように懇願する。しん子も友だちや親がいないさびしさから告げ口をしたと謝り、栄子も店に戻ってきて、何もかも落着したようだったが、ある日、街でアコを見かけた女性が追いかけて店にくる。その女性はアコの家庭教師で、じつはアコは財閥のひとり娘で、行方知れずの母親を探すために家出をしたのだという。だが、アコは置手紙を残して姿を消した後だった。
おそらく全7巻だと思うが、7巻を持っていないので完結したかどうかは不明である。