ごろねこの本棚【3】(1)

  • ごろねこ
  • 2019/09/10 (Tue) 22:13:45
『サマーフィールド』(あすなひろし)
虫プロ・1970年11月15日刊・A5判

私があすなファンになったのは、「COM」68年1月号に掲載された『300,000㎞/sec.』を読んでからだが、それまでは「マーガレット」などに時々作品を発表する少女まんが家としてしか認識していなかった。当時、主に臼杵三郎名義で青年まんがを描いていることは知らなかったので、「COM」の作品は新鮮な驚きを覚えた。そして、その頃から、「少年マガジン」の『北極光』、「少年ジャンプ」の『無法松の一生』『赤毛の狼』など少年誌での活躍も目立つようになっていた。そんな中、ようやく出た初の単行本が、これである。少女まんがなのだが、「小説ジュニア」と「女学生の友」に発表した作品なので、どれもまったく知らなかった。まんがとして面白いのはもちろん、叙情的なイラストに溢れた作品は、当時の私の手本となった。

ごろねこの本棚【3】(2)

  • ごろねこ
  • 2019/09/11 (Wed) 22:15:02
『サマーフィールド』(あすなひろし)
朝日ソノラマ・1976年12月25日刊・新書判

虫プロ版は、「Grand comics」というおしゃれな装丁を売り物にした新レーベルで刊行したが、3冊(他に真崎・守『はみだし野郎の子守唄』、宮谷一彦『性蝕記』)で終わってしまった。松本零士の『無限世界』、手塚治虫の『空気の底』が続刊として予定されていたが、出なかった。その後、虫プロ自体も倒産してしまうが、『サマーフィールド』は朝日ソノラマのサン・コミックスで復刊された。カバー絵は、虫プロ版の口絵が使われている。ただし、モルナール原作の絵物語『リリオム』と、5つの各章の冒頭に添えられた詩、及びあとがきはカットされている。

ごろねこの本棚【3】(3)

  • ごろねこ
  • 2019/09/12 (Thu) 22:18:11
『からじしぼたん/あすなひろし自撰集』(あすなひろし)
虫プロ・1973年3月30日刊・A5判

『サマーフィールド』の次に刊行された2冊目の単行本。といっても「別冊COMコミック」という雑誌扱いの本である。あすなひろしが、1972年度の第18回小学館漫画賞を『走れ!ボロ』『とうちゃんのかわいいおヨメさん』によって受賞したので、それに合わせての出版だろう。受賞作2作を含む9編が収録された364ページの本で、ボリューム的にも内容的にもお得な本である。『走れ!ボロ』以外は少年まんがと青年まんがから選ばれている。この頃の作品では『からじしぼたん』『砂漠の鬼将軍』『外人部隊』など映画からタイトルを拝借していた作品が、私は好きだった。ただし、本書にはその中から『からじしぼたん』しか収録されていない。

ごろねこの本棚【3】(4)

  • ごろねこ
  • 2019/09/13 (Fri) 22:25:08
『ミュータント・サブ』(石森章太郎)
コダマ・プレス・1966年10月30日刊・新書判

私が初めて買った新書判まんががこれだった。1966年は新書判まんがの生まれた年である。正確には、それ以前にも存在していたらしいが、認知度は低かった。66年には5月(奥付記載)にコダマプレスのダイヤモンド・コミックスが誕生し、同年中に38点が刊行された。同じ5月に小学館からゴールデン・コミックス、7月には秋田書店からサンデー・コミックス、9月に集英社からコンパクト・コミックス、11月には朝日ソノラマからサン・コミックスが誕生している。『マンガ家入門』を読んで石森章太郎作品に惹かれていた私は、8月の時点で、新書判コミックスの石森作品を月に1冊ずつ買っていこうと決めたのだが、その時点で刊行されていたのがコダマの『ミュータント・サブ』『赤いトナカイ』、秋田の『サイボーグ009』1、2巻だった。まず一番ページ数が多くてお得な『サイボーグ009』の1巻を買うつもりでいたのだが、本屋に行くと、何となく『ミュータント・サブ』のほうがオシャレに思えて、そちらにしてしまったのだった。

ごろねこの本棚【3】(5)

  • ごろねこ
  • 2019/09/14 (Sat) 22:09:12
『ミュータント・サブ(2)』(石森章太郎)
コダマ・プレス・1967年5月10日刊・新書判

1巻が出て、忘れた頃に(といっても今から思えば約半年後なのだが)2巻が出た。たとえば『ロック冒険記』や『真田剣流』のように初めから巻数表示が記された作品もあるので、予定外の刊行だったのだろう。ダイヤモンド・コミックスは全49点といわれているが、『ミュータント・サブ(2)』の刊行の通し番号は「50」である。これは、刊行予定だった手塚治虫の『罪と罰』『勇者ダン』が結局刊行されなかったためで、最後に刊行された通し番号51の『大平原児/黒い黒い谷(2)』の一つ前となる。私は『ミュータント・サブ』は初期「少年サンデー」版が好きなので、1巻所収話は内容も技法も好きだが、2巻の「ぼくら」版の話はあまり好きではない。ただ、「中学生画報」に連載した『ミュータントX』を(主人公の名ケンをサブに変えて『地球人サブ』と改題しているが)読めたのは、嬉しかった。なお、この作品は後に「別冊冒険王」に『X指令』として再録されたので、以後はそのタイトルで(主人公の名もケンに戻して)『ミュータント・サブ』シリーズに入っている。

ごろねこの本棚【3】(6)

  • ごろねこ
  • 2019/09/15 (Sun) 22:20:21
『はみだし野郎の子守歌』(真崎・守)
虫プロ・1970年11月15日刊・A5判

これが「Grand comics」の№1。あすなひろしの『サマーフィールド』と同時刊行だが、そちらは№2となっている。「COM」が生んだまんが家は大勢いるが、新人ではなく、すでに貸本まんがや青年まんが誌で執筆していた真崎・守だが、「COM」をきっかけにブレイクしたといっていいだろう。私は「COM」の「峠あかね」として知ったのが最初だったが、その当時は虫プロの社員だったらしい。ブレイクしたあとは、定規を使ったきっちりとした効果線や、独特な地口を使ったセリフ回しや、学生運動界隈の雰囲気を取り込んだ登場人物の立ち居振る舞いが、強烈な印象を残して、あっという間に70年代を駆け抜けて行ってしまった感がある。その初期の代表作がこれ。時代と寝てしまったというのだろうか、あまりにも時代と密着しすぎていて、リアルタイムで読んでいた身としては、今読み返すと気恥ずかしい。なお、この本には簡易な「COMコミックス別冊」版が1972年9月に刊行されたが、長いあとがきである「13番目の子守歌」はカットされている。

ごろねこの本棚【3】(7)

  • ごろねこ
  • 2019/09/16 (Mon) 22:14:20
『地獄はどこだ!』(真崎守)
東考社・1970年月日不明刊・新書判

真崎・守(この本の時点では「真崎守」で「・」がない)のまんがを初めて読んだのは、「COM」1968年5月号の別冊付録「ぐら・こん」に載った『ナガレ無頼・地獄のどぶ鼠』という時代劇だった。真崎作品の常連ナガレの1編で沖田総司も登場する。全体からすれば、真崎作品に時代劇が多いわけではないが、第一印象のせいか、何となく真崎作品というと時代劇が思い浮かぶ。虫プロ時代に石森章太郎原作のアニメ『佐武と市捕物控』の演出をしていたが、第1話の演出など、まさしく真崎・守だなと思ったものだ。といってもアニメを見たときには真崎・守を知らなかったはずなので、後からそう思い返したのかも知れない。で、真崎守名義の最初の単行本がこれで、時代劇だった。「連作/燃えつきた奴ら/刺客篇/地獄はどこだ!」が正式な書名で短編7編が収録されている。真崎作品には「連作」というのが多すぎて、何がどうなっているのか、よくわからない。

ごろねこの本棚【3】(8)

  • ごろねこ
  • 2019/09/17 (Tue) 22:20:33
『性蝕記』(宮谷一彦)
虫プロ・1971年3月15日刊・A5判

「Grand comics」の№3。収録作品は、『あにおとうと』『夜明けよ急げ!』『夜霧の標的者』『霧中飛行者の嘆息』『摩訶曼陀羅華曼殊沙華』『性葬者』『性蝕記』『日食』『輪舞』『黄金死篇』の10編。それに岡崎英生の宮谷一彦論、岩松原平介の解説が載っている。「COM」でデビューした新人まんが家としては、宮谷一彦と岡田史子が双璧と思えるが、宮谷の画法は後のまんがに与えた影響が大きく、まんがの絵を変えてしまったといっても過言ではない。内容的には常に最先端を走る不安と恍惚を感じたが、ここに収録されている「COM」や「ヤングコミック」に発表された尖らざるを得なかった作品より、私は「少年サンデー」に発表した『75セントのブルース』や「プレイコミック」に発表した『逃亡者』などのオーソドックスな作品のほうが、時代の臭みがなくて好きだった。まんがに限らず、時代の色に染まった作品は時代と共に褪せて行くものである。

ごろねこの本棚【3】(9)

  • ごろねこ
  • 2019/09/18 (Wed) 22:11:59
『性蝕記』(宮谷一彦)
虫プロ・1971年7月20日刊・B5判

「COM増刊号」という雑誌形式での刊行。後表紙から開くと、32ページがオールカラーの野坂昭如・文、米倉斉加年・絵の『おとなの絵草紙・マッチ売りの少女』になっている。宮谷一彦の『性蝕記』の収録作品は、『太陽への狙撃』『性蝕記』『性葬者』『日蝕』『輪舞』『黄金死篇』『絶景!富士山麓に鸚鵡鳴く』『摩訶曼陀羅華曼殊沙華』の8編。『太陽への狙撃』は100ページほどの連載作だったので、Grand comics版と比べると、半分ほどが入れ替わっている。巻頭8ページのカラーグラビアは宮谷一彦と新婚妻(後に離婚)との夫婦ヌードが載っている。「COM」でデビューした作家では青柳裕介も妻のヌード写真を作品中に載せていたと思ったが、それがセンセーショナルな意味だけでなく、赤裸々な私小説ならぬ「私まんが」への傾斜となったと思えば、意味はあったのだろう。

ごろねこの本棚【3】(10)

  • ごろねこ
  • 2019/09/19 (Thu) 22:23:14
『麦青(1)』(白山宜之、山本おさむ)
双葉社・1986年10月27日・A5判

山本おさむ作品は『ペンだこパラダイス』ぐらいしか読んだことがないが、『マンガの創り方』を読んでまんがに対してポリシーのある人だなとは感じていた。短編しか描いていない白山宜之と共作した『麦青』は、構成やストーリーは山本主導と思われる。都落ちして農業高校に新人教師が赴任してくるという導入からして、『坊ちゃん』や『青春とは何だ!』などを思わせる懐かしさがある。山本によると、最初は田舎ののんびりとした野球部のストーリーを考えていたらしいが、農業のほうへ興味が移り、野球部という設定はカケラもなくなったとのこと。

ごろねこの本棚【3】(11)

  • ごろねこ
  • 2019/09/20 (Fri) 22:16:32
『麦青(2)』(白山宜之、山本おさむ)
双葉社・1986年10月27日・A5判

では、どんな話になったのかというと、王ケ鼻農業高校という落ちこぼれ集団と川向こうの瑞星学園というエリート集団の、数年に一度の祭に匹敵する河原での大ゲンカである。そして大ゲンカの果てに和解するという、何とも懐かしい展開となる。さらに2巻では、政治家や地元の有力者が、王ケ鼻農高を廃校にして、工業団地にしようとするのに対して、高校の関係者はもちろん村の長老から住民たちが一揆を起こして、砦に籠城して機動隊と戦う展開になる。だが、善悪がはっきりしているので、読者の思い通りに展開していく。これまた懐かしいストーリーだが、では、具体的にどんな懐かしい作品があったかというと思い浮かばない。
「麦青む」「青麦」というのは春の季語である。「麦青」という語は聞いたことがない。ありそうでなかった懐かしさを覚える「春の季節・時代」を描いたまんが作品は、このときに生まれたのだ。

ごろねこの本棚【3】(12)

  • ごろねこ
  • 2019/09/21 (Sat) 22:19:25
『魔神王ガロン(1)』(永井豪&ダイナミック・プロ、原作・手塚治虫)
KKベストセラーズ・2004年11月10日刊・A5判

手塚治虫作品を原作として、新たにリメイクしたりリブートしたりする作品は多い。しっかりと調べたわけではないが、そんな中でもこれは古いほうではないかと思う。「手塚治虫マガジン」2004年11月号から始まったのだが、この前年03年には、『鉄腕アトム』の「地上最大のロボット」を原作とした浦沢直樹の『PLUTO』が始まり、名作となる予感に満ちていたので、『魔神ガロン』を原作とし、『マジンガーZ』の作者である永井豪が描く、この作品には知らずしらず期待してしまったのだった。一応、本家の『魔神ガロン』の45年あまり後の話で、続編的な内容になっている。宇宙人(じつはゴア)が地球人を自滅させるために、持主が魔神となる球を13個、地球(日本)に送ったのだ。

ごろねこの本棚【3】(13)

  • ごろねこ
  • 2019/09/22 (Sun) 22:30:38
『魔神王ガロン(2)』(永井豪&ダイナミック・プロ、原作・手塚治虫)
KKベストセラーズ・2005年6月10日刊・A5判

となると、13人の魔神が登場することになる。手塚キャラが次々と魔神となって現れるのが、かなり慌ただしい。その魔神たちがバトル・ロワイヤルを繰り広げ、勝者が魔神王となるのか、あるいは別の展開を予定していたのか、わからないまま「手塚治虫マガジン」は休刊となり、連載は中断された。それに40ページを描き下ろし、「第一部完」としたのが、この2巻。ここまでで魔神たちは9人までに減っており、いよいよ本格的な戦いが始まろうとする、そのとき、宇宙からマグマ大使がやって来るという終わり方である。正直なところ、何が何だかわからない。ただ手塚作品では、『ダスト18』が『ダスト8』になったように、48匹の魔物と戦い、体を取り返す『どろろ』の百鬼丸がまだ30匹分残して終ってしまったように、こういう終わり方自体が手塚リスペクトなのかも知れない。

ごろねこの本棚【3】(14)

  • ごろねこ
  • 2019/09/23 (Mon) 22:12:28
『神の獣』(巴啓祐)
講談社・1992年9月22日刊・A5判

大地震によって東京湾に隆起した古代遺跡の島。時を同じくして深海から出現した巨大怪獣。ただの怪獣まんがかと思いきや、これは怪獣版『AKIRA』である。大友克洋の『AKIRA』以後の都市崩壊描写を多用しているが、この種の作品で本当に人類滅亡まで描いた作品はいくつあっただろうか。巴啓祐という作者は、調べても他には実用まんがしかないので、エンターテインメントとしてはこの1作に全力を注ぎ込んで、力尽きてしまったのだろうか。たとえそうだとしても、それに値する作品だと思う。

ごろねこの本棚【3】(15)

  • ごろねこ
  • 2019/09/24 (Tue) 22:12:51
『ゴジラ/漫画コレクション1954-58』(阿部和助・杉浦茂・藤田茂)
小学館クリエイティブ・2014年7月28日刊・A5判

怪獣といえば、ゴジラを忘れるわけにはいかない。そういえば、「ゴジラ映画大全集」というタイトルかどうかは覚えていないが、ゴジラ・シリーズDVDの付録として、過去のまんが作品が復刻されていた。それを付録目当てで買おうかと迷ったのだが、ゴジラ関係のDVDは「東宝特撮映画DVDコレクション」ですでに購入してしまっていた。さすがに同じDVDを何十枚と買ってもしようがないので、諦めたが、先に復刻まんが付きのシリーズを出してくれよといいたくなった。
さて、本書で復刻された作品は5編。『科学冒険絵物語ゴジラ』(阿部和助)「おもしろブック」1954年10月号本誌+11月号付録、『ゴジラ』(杉浦茂)「少年クラブ」1955年3月号付録、『大あばれゴジラ』(杉浦茂)「おもしろブック」1955年6月号付録、『ゴジラ』(藤田茂)『続・ゴジラ アンギラスの逆襲』(藤田茂)共に1958年・あかしや書房単行本。

ごろねこの本棚【3】(16)

  • ごろねこ
  • 2019/09/25 (Wed) 22:17:44
『ゴジラvsキングギドラ決戦史』(石川球太・堀江卓・古城武司)
竹書房・1992年1月16日刊・B6判

収録作品は、『三大怪獣 地球最大の決戦』(石川球太)「少年ブック」1965年1月号付録、『怪獣総進撃』(堀江卓・卓プロ)朝日ソノラマ刊「怪獣総進撃」収録、『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』(古城武司)「別冊少年チャンピオン」1972年8月号掲載。
東宝の怪獣の中で、私が一番好きなのはキングギドラである。とにかく造形が美しい。八岐大蛇をヒントに、八つの頭ではさすがに多いので三つにしたのだろうが、一つ一つが竜なのもデザインがよい。ただ、残念なのはキングギドラが二度目に登場する『怪獣大戦争』のまんが化作品(江原伸)が収録されていないこと。

ごろねこの本棚【3】(17)

  • ごろねこ
  • 2019/09/26 (Thu) 22:13:03
『ゴジラvsモスラ決戦史』(園田光慶・久松文雄・吉田きみまろ)
竹書房・1992年12月27日刊・B6判

収録作品は、『モスラ』(吉田きみまろ)「少年」1961年7月号付録・8月号本誌、『モスラ対ゴジラ』(久松文雄)「冒険王」1964年5月号付録、『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』(園田光慶)「ぼくら」1967年1月号付録。
『モスラ』は7月号では『大怪獣モスラ』のタイトルだったが、8月号でただの『モスラ』になった。確かにモスラを怪獣と呼ぶには違和感がある。怪虫が正しいのだろうが、それはもっと違和感がある。インファント島の、ひいては地球の「守り神」と呼べばいいのだろう。

ごろねこの本棚【3】(18)

  • ごろねこ
  • 2019/09/27 (Fri) 22:21:39
『ゴジラvsメカゴジラ決戦史』(桑田次郎・中沢啓治・井上智・成田マキホ・蛭田充。古城武司)
竹書房・1993年12月27日刊・B6判

収録作品は、『空の大怪獣ラドン』(桑田次郎)「おもしろブック」1956年10月号付録(絵物語)、『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』(中沢啓治)「少年」1968年1月号付録、『怪獣総進撃』(井上智・成田マキホ)「まんが王」1968年7月号付録、『ゴジラ対メカゴジラ』(蛭田充)「月刊少年チャンピオン」1974年4月号掲載、『メカゴジラの逆襲』(古城武司)「月刊少年チャンピオン」1975年4月号掲載。
桑田次郎の絵物語は、まんがとは違ったタッチで、いかにも王道の絵物語という気がする。もし絵物語の全盛期がもっと長かったら、絵物語の代表作も何か生まれていたかも知れない。メカゴジラは、少年の頃に見れば「カッコイイ」と思ったかも知れないが、残念ながら私はもう怪獣映画を卒業してしまった頃だったので、あまり関心がなかった。ところで、キングギドラは、ソ連の幻想映画『豪勇イリヤ 巨竜と魔王征服』の三つ首怪獣に源泉を見る、と本書の「東宝怪獣図譜」に書いてあった。八岐大蛇は関係ないみたいだ。

ごろねこの本棚【3】(19)

  • ごろねこ
  • 2019/09/28 (Sat) 22:09:23
『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』(中沢啓治)
大映・2007年のDVD発売記念特典・B5判

「少年」1967年4月号付録の「少年コミックス」に掲載の作品を小冊子にして、公開時(3月15日)に各劇場で配布した。その復刻版。実は、私が好きな怪獣映画は「平成ガメラ」の3部作である。「平成ガメラ」を見て、「昭和ガメラ」の魅力を再認識したが、どちらのシリーズにも登場するギャオスが、最も秀逸で印象に残る怪獣だと思う。東宝のゴジラ、大映のガメラ、松竹のギララ、日活のガッパと、各社代表的な怪獣映画を残したが、東映だけが、知名度のある怪獣を生み出せなかったようだ。

ごろねこの本棚【3】(20)

  • ごろねこ
  • 2019/09/29 (Sun) 22:23:27
『怪獣ギョー/楳図かずおの恐怖劇場』(楳図かずお)
講談社・2013年9月20日刊・B6判

収録作品は、『怪獣ギョー(前後編)』(「少年サンデー」1971年)、『楳図かずおの恐怖劇場』(「少年画報」1966年)⑴『首なし男』⑵『地球さいごの日』⑶⑷『大怪獣ドラゴン(前後編)』⑸『双頭の巨人』、『小泉八雲「怪談」より 手討ち』(「少年ブック」1968年)、『雪女』(小学三年生」1968年)。
『怪獣ギョー』は覆面作家として発表した作品なので、絵柄を多少変えたということだが、どう見ても楳図作品だとわかる。この作品と『大怪獣ドラゴン』との共通点は多い。どちらも、怪獣と出会った少年が不幸な目に遭い、傷を負った怪獣は海へと逃げる。長い時が過ぎ、やがて傷の癒えた怪獣が少年を探しに現われる、といった話である。少年が村人に殺され、やがて現れた怪獣が少年の衣服をまとった人形をくわえて海に帰って行き、おそらく死ぬだろうといった『大怪獣ドラゴン』のほうが、じつはストーリーとしてはわかりやすい。それに比べて『怪獣ギョー』のストーリーの破綻は、いかにも楳図作品らしい。楳図作品の進化とは、ストーリーを壊して行くことだったのだ。
(投稿前に、内容をプレビューして確認できます)